第10回 ビジネスマンのためのシリコンバレー案内

さて、アメリカ、シリコンバレーからハイテク情報をお伝えする本コラムも、おかげさまで連載十回を数えることになりました。今回は「シリコンバレー」自身について、ビジネスマンのための情報をご紹介します。


シリコンバレーってどこにある?

シリコンバレーと言うのは実際は地名ではなく通称で、サンノゼ、サンタクララ、サニーベール、クパチーノをはじめとした十一都市を含むサンタクララ郡を中心とした地域のことを指しています。サンタクララ郡はカリフォルニアでは北部に位置し、日本からのアクセスは、多数の航空会社が運行しているサンフランシスコ便を利用するのが一般的です。サンフランシスコ空港からは、シリコンバレー地域へは車で約一時間ほどの距離です。また、サンノゼ市内にはサンノゼ国際空港もあり、日に一便だけですが、日本航空とアメリカン航空の共同運航便が日本から往復運行しています。

 

カリフォルニアのほぼ中心部、サンタクララ郡(地図のグレーの部分)を中心とした地域を指してシリコンバレーと呼ぶ。ロスアンゼルスやサンディエゴなどがあるのは南部にあたる。

 

 

シリコンバレーの空の玄関、サンノゼ国際空港。残念ながら日本からの直行便は限られているが、多数の航空会社が全米および海外へ飛び、空港利用客は年間一千万人を超える。


すごしやすい気候・たくさんのハイテク企業と移民者たち
気温は年間を通して関東地方よりも暖かく、一年中ほとんど雨が降らないため、非常にすごしやすい気候になっています。シリコンバレーと呼ばれるゆえんは、一九七〇年代ごろから半導体(英語ではセミコンダクタだが、シリコンの結晶からつくられることから、シリコンとも呼ばれる)企業が多く集まってきたことから、その名がつきました。ご存知のとおりその後はコンピュータ系の企業、現在ではネット系企業が多く集まってきており、一大ハイテク産業地域を形成しています。シリコンバレーのハイテク産業の発展はとどまることを知らず、それに従って人口は年々増えつづけています。ここまで各国からの移民が増えているのは、米国内だけでは技術者がまかないきれず、優秀な技術者を多く排出するインドや、アジア方面から技術者を招聘していることが原因です。

 

 
道路に点々と椰子の木が立ち並ぶ、シリコンバレーの町並み シリコンバレーからネットバレーへ? サーチエンジンで有名なYahoo!の社屋。
   
ソニーなどの日本の大手メーカーも、軒並みシリコンバレーに米国の本拠を構える。    


ホテルはいつも満員

出張時などに注意しておきたいのが、慢性的な滞在先不足です。ビジネスの需要に対してホテルの数が近年追いついておらず、特に大規模なイベント・展示会などが催される際には、早めに滞在先を確保しないと、冗談でなく泊る場所がなくなります。そういった状況ですから、もちろん宿泊費もかなり高水準(?)になっており、最低でも一泊一五〇ドルは覚悟しておいたほうがいいでしょう。面白いのは、週末になると、ガクっと半額以下に値段が下がることで、ビジネスでの滞在者が圧倒的に多い、シリコンバレーならではの現象と言えるのではないでしょうか。裏を返すと、観光地で有名なサンフランシスコと違って、わざわざ他の土地から週末を過ごしに来る人は非常に少ないといえます。

シリコンバレー全域のホテルの空き状況が検索でき、予約できるページ。すぐに満室になるので予約は早めにする必要あり。

 

移民が多いことのメリット?
さて、出張など疲れたところで恋しくなるのが食べなれた食事でしょうか。各国からの移民が非常に多いシリコンバレーでは、食べられない種類の料理はない、といえるほど、世界中の国のレストランがあります。中華、和食はもちろん、本格的なインド料理や韓国焼肉、ベトナム・タイ料理などが非常にリーズナブルな価格で楽しめます。

 

お店の看板も非常に国際的なシリコンバレー。日本語、韓国語や中国語の看板があちこちにある。あの吉野家もあります。お味はほとんど日本と同じ。

 

  長期在住の際にも、近隣には日本の食材はもちろん、あまり日本で目にすることがないような各国の食材がスーパーをにぎわせており、食生活で不自由することはまずないでしょう。
日系スーパーでは、日本の食材もほとんどのものが手に入る。    


移民が多いことのデメリット
長期在住者や移民が各国から流れ込んでいることから来るデメリットは、近年人口が急激に増えつづけていることからくる、住居難や、慢性的な交通渋滞ではないでしょうか。片側四車線もあるフリーウェイが朝晩のラッシュ時に車で埋め尽くされるのはまさに圧巻で、スモッグなどの公害も問題になっています。ビジネス上ではまだまだ人材が不足しているようで、移民ビザの枠拡大の必要性がいろいろなところで叫ばれており、シリコンバレーの人口拡大はまだまだ止まりそうもないようです。


アメリカでも一番喫煙に厳しい土地
米国で禁煙が推進されているのはご存知の方が多いと思います。カリフォルニア、特にここシリコンバレーではタバコに対する風当たりが米国一厳しく、他の州では許されているバーなどでの禁煙はもちろん、公共の場所ほとんどで喫煙が禁止されています。ホテルも全室禁煙のところが増えています。しかもタバコのお値段は、なんと一箱4百円以上。自然と本数もへるかもしれません。愛煙家の方はシリコンバレー出張の際は多少の不自由を我慢する必要があります。


最近のシリコンバレー
ネット系企業が最近非常に増えてきていることから、住居やホテル不足を超えて、会社を設置する土地も足りなくなってきています。シリコンバレーに次々と新社屋を建設している、ネット系インフラを提供しているシスコ・システムズ社は、ついに社屋を建設する土地がシリコンバレーでは足りなくなり、新天地をさがして移転を検討しています。

ネット系インフラの大手、シスコシステムズ。サンノゼに数え切れないほどの社屋を新設し、なおも増設工事中。シリコンバレーでは場所が足りなくなり、新天地を探索中だとか。

一方、交通渋滞や、住宅難がひどくなることを嫌って、ネット系企業が社屋を設置することを反対する地域も増えてきたようです。
一時期のようなネットバブルも一息ついたようですが、依然として不動産の価格は上がりつづけています。株のバブルと同時に土地の値段ががくっと下がった日本の状況とだいぶ違うようです。景気は依然として悪くなく、それに添った形で、シリコンバレー地域の治安は非常によいようです。ただし、賃貸アパートが高騰をつづけているために、労働者の住居が確保できなくなってきており問題になっています。

もうひとつ、最近日本でも最近話題になっていることが、シリコンバレー近辺の電力不足問題でしょうか。電力の自由化が大きな原因となってはじまった電力不足騒動も、特にネット系企業が爆発的に増えて電力不足気味のシリコンバレーではより深刻な問題となっています。現在執筆時点では、電力会社による計画停電によって難をしのごうとしていますが、いち早い解決が期待されるところです。

 

 

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