第12回 ADSL入門

本コラムの最初のころに、アメリカにおける高速インターネットについてお話しましたが、日本でもいよいよADSLという高速インターネットサービスが本格化しつつあります。今回は実際にADSLとはどのようなものか、導入や利用などについてお話していきたいと思います。

ADSLとは?

 
ADSLサービスを提供している会社のひとつ、東京めたりっく通信のホームページ http://www.metallic.co.jp/ 日本でのADSLは当初東京めたりっくやe-Accessなど、NTT以外の会社によって推進され、NTTが後押しされる形で発展した。  

これまで、電話線を使ってパソコンなどに搭載されたモデムでインターネットにつないだ場合のスピードは五六Kbps(一秒間に七千文字程度を送ることができるスピード)が技術的な限界とされてきました。これを克服するためにNTTがISDNという規格を推進してきたのですが、ISDNでもスピードの上限は電話線を使った場合の二〜二・五倍程度のスピードでした。この程度のスピードでは文字データを送るのが主な利用方法で、動画や音声などをインターネットで利用するにはまだまだ性能が足りていませんでした。ADSL(Asynchronous Digital Subscriber Line、 SDSL、μADSLなど細かい種類があり、単にDSLやxDSLと呼ばれる事も多い)は電話線を使ってモデムでの接続の二十数倍もの高速接続を実現したあたらしい技術です。このスピードがあれば、大量の文字データが瞬時に送れるだけでなく、テレビのようになめらかな動画や、CDと同じ品質の音楽をすぐに受け取ることができるようになるのです。これまでアメリカや、おとなり韓国などのADSL先進国ではかなりの家庭に接続がされてきましたが、日本ではISDNへの傾注がアダとなって残念ながら普及が今ひとつすすみませんでした。最近になって、国を挙げてのIT先進国化の掛け声を受けてかADSLの普及が急速に進みつつあります。




ADSLの仕組み

 
ADSLの接続概念図 ADSL信号と電話信号を分離するスプリッタという機器を間にはさんで、電話機とADSLモデムに接続する。ADSLモデムからパソコンへの接続は、USBかイーサネットというネットワークで接続する。  

ADSLを実際に利用する場合には、ADSLを運用している業者に宅内工事に来てもらう必要があります。工事といってもADSLはすでに家庭に配線されている電話線を利用して接続されますので、家屋に手を加えるような工事ではありません。したがって団地やアパートなどでも簡単に導入することができます。
工事ではADSLモデム、スプリッタなどといったADSL特有の機器を電話ジャックに接続し、実際に動作するかどうかまでのテストをしてくれます。最近になって、ADSLモデムの外販が法律で認められたため、宅内工事をユーザに任せる業者も増えてきています。

工事が終われば、電話とインターネットを一度に使うことができるようになりますから、これまでのモデムでの接続のように話し中を気にすることなくいつでも気軽にインターネットを使うことができるようになります。現状ADSLを導入するにあたっての大きな問題は、まだ都心部の一部でしかサービスが始まっていない点でしょうか。自分の家でADSLが接続できるかどうかは、ADSLサービスを提供している各社に問い合わせるか、それぞれの会社のホームページから確認できます。また、ADSLは今非常に人気が出てきているため、サービス圏内でも実際の工事までだいぶ待ち時間を覚悟する必要があるようです。


固定料金・常時接続のADSL

庭において、ADSLを導入するメリットで一番大きいのは通信料金ではないでしょうか。これまでインターネットをしようと思うと、メールを送るにしろ、ホームページを見るにしろ、電話料金のことが気になってなかなか長時間気楽に楽しむというわけにはいかなかったと思います。市内料金が三分十円として、一日二時間インターネットを楽しめば、それだけで毎月一万二千円もの通話料金を請求されることになってしまいます。市内通話料金が固定料金でかけ放題のアメリカなどの諸国とくらべて、これがインターネット普及の足かせになっていたことは明白です。

NTTフレッツADSL 東京めたりっくADSL 一般電話
電話料金 - - 12000円
プロバイダ料金 1000円程度 - 2000円程度
ADSL料金 4600円 5500円 -
合計 5500円程度 5500円 14000円程度

一日2時間、30日間つかった場合の料金の比較。はるかに高速であるにかかわらず、ADSLの月ぎめ料金は電話を利用した場合の半分以下になる。

 

  これでは子供に安心してインターネットにつながるパソコンも使わせられません。ADSLは月々の料金が固定になっているため、いつでも何時間インターネットを使っても大丈夫ですし、電話も同時に使えますからインターネット中は話し中といったこともありません。しかも、ADSLは常時接続といって、いつまでもつなげっぱなしにすることができます。接続を切らずにおけば、定期的に電子メールをダウンロードしたり、他の作業をしている時にもインスタント・メッセンジャーなどへの呼び出しを自動的に受信することができます。これまでのように電話料金を気にしてこまめにモデムの接続を切る必要もありません。
インスタント・メッセンジャーソフトのひとつ、Yahoo!メッセンジャーの画面。iモードのように短いメッセージを、リアルタイムで送受信するためのソフト。パソコンを他の用途で使用しているときでも、ADSLのように常時接続ならいつでもアラームが鳴って、だれかからメッセージが入ったことを知らせてくれる。    

 

 























高速だからできるインターネット・マルチメディア

 
ライブ放送など、多彩な高品質ストリーミングビデオを配信しているimpress.tvのページ。  

ADSLは、通常のモデムの最大二十数倍のスピード。様々な写真や画像が貼り付けられているようなホームページも本のページをめくるように瞬時に表示されてしまいます。このスピードなら、電子メールにデジタルカメラの写真を貼り付けたりちょっとしたホームムービーなども電子メールで送れてしまいそうです。もっとも、調子にのって高速接続していない相手に、大きすぎるメールを送ってしまうとひんしゅくを買ってしまいますが。

ADSLなどの高速接続が一般的になるにつれ、高画質のストリーミング・ビデオを流すサービスもかなり数が増えてきました。ストリーミング・ビデオの特徴は、クリックした瞬間からビデオが流れ出すことですが、モデム経由では切手大のビデオがぎこちなく動くような品質でした。ADSLなどの高速通信を対象としたストリーミング・ビデオコンテンツでは、モデム通信速度の何倍もの高速なビデオ映像を送り出すことにより、画面いっぱいに滑らかなビデオ映像を表示することができます。

先日もテレビ東京、NTT東日本、日本経済新聞社、シャープなどが提携して、高速インターネット専門のコンテンツ配信会社「テレビ東京ブロードバンド」の設立を発表しました。今後ADSLやケーブルインターネット、光ファイバー通信などの高速インターネット通信が推進されるにつれ、テレビの放送内容と、インターネット上の放送の内容の垣根がなくなってくることがささやかれています。内容に差がなくなってくると、われわれ視聴者としては、テレビとインターネット、どちらの媒体を選ぶようになるのでしょうか。面白いところではあります。

 

筆者が運営しているADSL情報ページ、DSL Maniacs.com国内外のADSLに関する情報を掲載しています。詳しい情報をごらんになりたい方はぜひお越しください。
 

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