| 第5回
携帯機器とパソコンの融合
アメリカ製PDA、日本上陸
本格的に日本でのビジネスを始めて、たった一年程度で日本国内のシェア一位に上り詰めてしまったアメリカのハイテク企業があります。社名と同じPalmという名前のPDAを製品として持つ、Palm社です。これまでシャープのザウルスの独壇場だった日本国内のPDA市場を一気に塗り替えてしまいました。正確には、Palm社のPDAをOEMブランドで先行販売した日本IBMのWorkpadや、英語版のPalmを購入して使っていたパワーユーザへの販売台数もありますが、その勢いたるや凄いものを感じます。
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アメリカの市場でも、Palm社のPDAは単独でもかなり大きなシェアを持っていますし、IBMなどのOEMブランドの製品や、Palm社のOSを採用したHandspring社のVisorなどの互換製品を合わせると、相当の数に上ります。後発のマイクロソフトがWindows
CEで対抗していますが、いまのところ、Palmの大きなシェアに太刀打ちできていない状態です。 |
| 日本やアメリカで圧倒的なシェアを誇るPalm社のPDA(写真はPalm
V)写真にあるクレードルとよばれる接続アダプタをパソコンに接続し、Palmを置いてボタンを押すだけで、自動的にパソコン上のデータと同期する |
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パソコンとの同期機能で成功したPalm
企業でのパソコンベースのネットワーク化が進んでいたアメリカでは、電子メールはもちろん、社員がソフトを利用したスケジュール管理は早くから浸透していました。Outlookなどの統合ソフトは、サーバにデータを置くことによって、スケジュールを誰でも見ることができ、本人の所在を確認した上でミーティングをセットできたり、エクゼクティブは秘書にスケジュール管理してもらい、パソコンの画面を定期的にみておけば、間違いなく最新のスケジュールでミーティングをこなして行くことができます。スケジュールに合わせて、自動的に次のミーティングの時間になればチャイムと共にパソコンの画面に表示されます。
| ▼企業で広く使われているマイクロソフト社のOutlook 2000。電子メール・スケジュール帳・仕事リストや連絡先帳をオールインワンにした企業用のソフト。 |
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| ▼casiopeia.jpg Outlook2000と同期を取ったあとのPDA(写真の画面はカシオ製のWindows
CE機)の画面 |
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ただし、パソコンの前を離れているときは、その日の朝にプリントアウトしたスケジュールを表やシステム手帳に書きこんで、席に戻った時にパソコンで入力する必要がありました。ノートパソコンをいつも使っていれば、出先でもスケジュールや連絡先の確認はできますが、どこにでも持って歩けるわけでもありませんし、いちいちパソコンを立ち上げるのも面倒なものです。PalmやWindows
CEなどのパソコンとすぐに同期ができるPDAがあれば、どこででもスケジュールを確認でき、追加の情報を入力できますし、不在時に会社で誰かがOutloookに追加してくれた情報なども、自分の席に帰ってPDAをつなぐだけで、お互いに同期して、最新の情報にアップデートできます。電子化が十分企業内で浸透した段階で入ってきたPDAは、どんどんビジネスマンの間に浸透していきました。Palm社がアメリカで大きな成功を収めた要因は色々とありますが、これまでのPDAが単独での利用を前提としていた事に対して、このパソコンと同期して使えるというところが、多くのビジネスマンを引きつけた理由ではないでしょうか。 |
ますます進化するPDA
Palm社は追加ハードとソフトウェアの開発仕様を公開しており、ソフトウェアに関してはフリーウェアも含めて数千といわれるぐらい沢山のものが出ています。インターネットでパソコンでダウンロードして、同期をとれば新しい機能をすぐにPDAに追加できます。
| ▼Handspring社のVisorをナビゲーションシステムに変えてしまうGeoDiscovery社のGPSアダプタ |
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ハードに関しては折りたたんで手軽に持って歩けるキーボード、デジタルカメラ、ワイアレス・インターネットアダプタ、ナビゲーション・システムや、バーコード・リーダーなど、様々な機能をPDAに追加できる製品で市場をにぎわせています。カバーや、キャリングケースなどのアクセサリ類にいたっては、何種類あるのか見当もつかないぐらいたくさんのものが販売されています。 |
PDAはインターネットを取り込んで、ますますその使いやすさと便利さを進化させていきます。アメリカのFusionOne社が提供するサービスでは、インターネットを介して会社のパソコン、自宅のパソコン、PDAや携帯電話のアドレス帳まで、Outlookのデータを同期させることができます。使用方法はいたって簡単で、FusionOne社のソフトをパソコンにインストールすれば、インターネットにつなぐたびに自動的にサーバからデータをダウンロード、比較して、最新の情報に同期を取ってくれます。PDAはパソコンにつなぐ以外にも、モデムをつなげれば出先から単体でデータの同期を取ることができますし、Palm社のPalm
IVのような無線インターネット接続ができるPDAでは、どこにいても最新のデータに更新ができます。インターネットや会社のメールも、どの機器を使っても、どこにいても読み書きができるようになるわけです。もっとも、どこにいっても仕事が追いかけてくるということでもあり、会社員にとってはつらい話かもしれませんが。
携帯電話とPDAの融合
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| ▲パソコンと同期してスケジュールも表示できるiモード携帯電話 |
日本でPalmなどのパソコン同期型PDAが広く受け入れられた理由は、パソコンとの同期も大きな理由ですが、パソコンでダウンロードした電子メールを読んだり返事を書いたりといったことが、混んでいる電車の中などで手軽にできるという部分も評価されたのではないでしょうか。実際のところ、ザウルスなどの国産のPDAの方が、カラー画面などの表示能力、文字認識などの機能でははるかに高性能です。また、Palmの登場以前からザウルスでは、直接インターネットに接続することができましたが、操作のしやすいパソコンでマウスとキーボードを使ってデータを集めたあとに、簡単に同期でき、白黒でも軽快に必要な作業ができるパソコン同期型PDAの方の使い勝手に軍配があがったようです。
日本国内でも確実にシェアを伸ばしつつあるPalmですが、これからは違う動きが出てきそうです。iモードを筆頭とする高性能な携帯電話が登場し、その機能がどんどんPDAに近づきつつあるからです。
ヨーロッパや、アメリカの携帯電話もその機能を徐々に高性能化しつつあります。また、モデムの数十倍までの通信速度をもつという、第三世代の携帯電話の機能は、ビデオ電話の搭載などのマルチメディア機能もPDAに取って変わるほどのものに進化していくといいます。こういった携帯電話の発展に対応し、Palm社ではいち早く戦略をハードウェアの販売から、OSのライセンスへとビジネスモデルを変えつつあります。すでにPalm互換機を発表したソニーとの包括的な提携や、ノキア社やクアルコム社など携帯電話メーカーとの提携も発表されています。
携帯電話とPDAの融合が進み、パソコンやその他のインターネット端末とシームレスに接続できるようになれば、携帯電話ひとつ持っていれば、出先から会社の電子メールやスケジュールにアクセスしたり、自宅のパソコンのデータを引き出したりするような、ますます高度なインターネットの利用方法が生まれてくることが期待できます。携帯電話に関してもっとも進んでいる日本メーカーの製品が、PDAを押しのけて世界の市場を賑わせる日もそう遠いことではなさそうです。
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